研究課題/領域番号 |
11610086
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
板倉 昭二 京都大学, 文学研究科, 助教授 (50211735)
|
研究分担者 |
國吉 康夫 電子技術総合研究所, 知能システム部, 主任研究官
|
キーワード | 他者の心の理解 / マインドリーディング / 霊長類 / 視線知覚 / 注意のシフト / ヒューマノイド / 模倣 |
研究概要 |
昨年に引き続き板倉は実験的分析、國吉はヒューマノイドロボットの開発をおこない、本年度は最終年度ということで、まとめの討論をおこない、今後の展開の可能性を考察した。 板倉担当分:昨年度に引き続き、他者の視線の認知、他者の心を読むことの実験的分析をおこなった。視線の認知では、Baron-Cohenらの視線方向検出器(EDD)に基づいて、反射的注意のシフトの実験をおこなった。昨年の結果から、矢印刺激も注意のシフトを促すことがわかったので、非対称性の手がかり刺激であれば、こうした注意のシフトを誘発するのではないかとの仮説を得た。そこで成人を対象に実験をおこなった。コンピューターの中央部に手がかり刺激(非対称性の図形、統制刺激として長方形図形)を呈示し、左右に同一のターゲット刺激を呈示した。その結果、左右非対称の図形であれば、その効果は矢印刺激よりも若干落ちるものの、確かに注意のシフトを誘発した。また、他者の知識の理解に関して、他者における視覚的な知識獲得よりも、他者のinteractionを見る方が、他者の知識の理解には有効であることを実験的に示した。 國吉担当分:電子技術総合研究所知能システム部において、昨年度から引き続き、ヒューマノイドロボットの開発をおこない、今年度の課題であった下半身システム完成した。また、各種モダリティーを用いた定位反応の実験や、動作模倣の基礎的な実験を昨年に引き続きおこなった。さらに、他者理解の手始めとして、ヒューマノイドがvisual systemにより、人と継続的なinteractionが可能であることを示した。 また、最終年度のまとめとして、他者の心を読むシステムに関して、これまでヒトやヒト以外の霊長類で得られた知見を、完成間近のヒューマノイドロボットでさらに実験をおこない、特に他者の模倣のメカニズムと他者の心の理解に関連するメカニズムの連結を解明する可能性が示唆された。
|