(1)WGTAによる老齢ザルの記憶戦略の調査の結果と考察 (1)老齢は初期の段階から実験に集中していて、一貫して課題解決のための正しいアプローチをとることができた。対して、初期の段階で非老齢は実験そのものへの集中力を欠き、課題に取り組むスタートが老齢よりも遅れた。 (2)WGTAの結果をまとめると、 (a)老齢ザルの学習能力の低下はみられなかった。 (b)老齢ザルの学習過程の行動には、非老齢とは異なるパターンがあり、習得に効果的な方略として働いていた。 (3)観察された手がかり的行動が「記憶するため」に重要であると推察できる。つまり、記憶保持を老齢が特有の方法で行っており、彼女らが劣化した何らかの能力を補うような行動的戦略を用いているということである。 (2)改良型指迷路による空間認知能力テストの結果と考察 エラーボックス付きの4段迷路を作った。その結果、装置の仕組みを理解しているらしいことがわかった。しかし、サルは比較的容易に1段目をクリアーするが、2段目が非常にむずかしい。それが、餌を1段目と反対方向へ移動するという課題の難しさなのか、1段目に落としてももう1段落とさなければ報酬がもらえないという、強化の遅延もしくはいわゆる2次的強化のために難しいことがはっきりしないことがわかった。
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