研究概要 |
「長期飼育実験箱」(横90×奥65×高110cm,高55cmに60cmの板を張り,上部をフリーオペラント領域,下部を木屑を入れた巣部とし,一端30cmを上下の出入口とした)における摂食と摂水を観察した.実験箱全体の上部に12W(6W×2)の蛍光灯を設置し,8時から20時までを明期,20時から翌日8時までを暗期とした12時間交替の明暗周期の下で,8週齢のウイスター系アルビノラット(♂)を被験体として上部領域に給水器と給餌器を常設して45日間飼育し,給餌器からの摂食の頻度と所用時間を確認した.長期飼育実験箱の上部と横部に設置した赤外線カメラにより監視し,ビデオテープレコーダにより記録したが,毎日16時30分〜17時30分の1時間は,実験箱のケアと諸機器のリセットのため,各種記録を中断した.ビデオレコーダによる記録を再生し,(1)ラットが上部領域と下部巣部とにいる時刻,(2)餌の摂食開始と終了の時刻,および回数(15分以内の摂食の中断は,連続する摂食行動と見なした),(3)摂水開始と終了の時刻,および回数,等を分析のためのデータとして整理記録した.これ等から1時間毎の摂食時間と摂水時間(総摂食時間と総摂水時間に対する比の値)を求め,摂食と摂水に関する行動の1日の継時的な発生の過程を確認した.明期の摂食は極めて低頻度に行われ,最大でも12時〜13時に0.74%であったが,主な摂食は暗期に始まる少し前(19時)から始まり,摂食時間は徐々に増加して23時〜0時に最初の頂点(10.2%)を示した.その後は下降し4時〜5時には明期の摂食状態とほぼ同じ水準を示した.しかし,その後急速な上昇を示し6時〜7時に1日の最高の摂食の頂点(13.1%)に至り,その後は急速に低下して明期をを迎えた.摂水は全体的には摂食とほぼ同じパターンを示して行われたが,最初の頂点は摂食が下降を示す直前の2時〜3時に見られ,最高の頂点は摂食と同じ6時〜7時に見られた.
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