研究概要 |
長期飼育実験箱の給餌領域は,65×60cm^2の広さの床にステンレスのグリッドを張った深さ55cmの空間である.床の60cmに接する一方の65×30cm^2の上下連結部分から床下の部分へ連結しており,被験体(ラット)は,おがくずを詰めた深さ55cmで65×90cm^2の床下部分と給餌領域の部分の間を,自由に往来できる状態であった.給餌領域の,上下連結部分の反対側の壁には,給餌給水装置が装着してあり,ラットはレバーを押すと予め準備された強化スケデュールに従って45mgのフッドペレットがレバーのすぐ右横にあるフッドカップに提示された.給水口は左隅にあり常時有効であった.照明は8時から20時を明期とし,他は暗期とした.この装置で雄ラットを飼育し,同時にフッドペレットと水の摂取に関して記録を行った.フッドペレットの摂取と,各種の記録はコンピュータによって毎日行われた.最初の40日は連続強化スケデュール,次の40日は定率強化FR5,続く40日は定率強化FR10の強化スケデュールが用いられた.データのファイル化と,装置への水の補充とフッドペレットの補充は毎日18時(午後6時)から10分前後で行われ,この時にコンピュータがリセットされた.FR5の下,40日目のレバー押し回数は,18時から1時間ごとに順に,0,0,300,370,115,0,0,0,0,390,390,0,305,0,0,0,0,0,0,162,0,0,0,0,;FR10強化スケデュール下の初日のレバー押し回数は,482,0,0,770,178,0,761,482,0,0,0,406,373,518,0,0,0,0,0,0,0,0,0,590;FR10強化スケデュール下の40日目(最終日)のレバー押し回数は,0,650,0,362,478,211,730,0,559,0,850,0,551,710,0,0,0,0,0,0,0,119,0,0;であった.これ等を日毎に合計すると,レバー押し回数はFR5最終日が1932回,FR10初日が4560回,FR10最終日が5220回であった.この時の強化子(フッドペレット)獲得数は,FR5最終日が386,FR10初日が456,FR最終日が522であった.接触は主に暗期に行われ,FR5とFR10の各最終日の比較からフッドペレット獲得の困難度が増すと(FRサイズが大きくなると)暗期のレバー押し反応の生起が盛んになり,また,ラットのレバー押しにかかわる期間が,暗期開始時と終了時に主に見られていた状態が,暗期全体に分散するように変化する様子が明らかになった.グリッドへの嫌悪刺激の導入はこの後に行われる予定である.
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