ラットの空間情報処理に関して3実験を実施した。 (1)ラットの学習・記憶能カの評価にモリス水迷路は優れた装置であるが、この装置の便宜性と有効性を高めるために浅い水迷路の実用化を行った。テストの結果、本水迷路の行動評価装置としての有効性を確認するとともに、水質の維持管理ならびに課題事態のストレス強度を低減させることができた。本水迷路を用いて以下の2実験を行った。 (2)空間課題の遂行におよぼす海馬と背側線条体の選択的損傷の効果を課題解決方略と行動軌跡との関係で分析し、海馬が場所方略に背側線条体が手掛方略の利用に関係するなど両部位の心理的機能の分化を明らかにした。 (3)水迷路遂行中の正確な目標志向行動と環境刺激の利用におよぼす海馬あるいは頭頂葉の選択的損傷の効果を環境の明暗条件を操作することによって検討した。本実験は明暗条件の変化に伴う軌跡の変化を解明することが重要であり、現在その解析を行っている。
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