研究概要 |
平成12年度は平成11年度に提出した進化ゲームモデルをさらに洗練させ、それに基づくコンピュータシミュレーションを広範なパラメターレンジで行った。その結果、資源獲得に不確実性が伴う場合、その資源を広く共有財として提供する行動が、進化的安定戦略となることが解析的に明らかにされた。この解析結果をもとに、資源獲得の不確実性が人間行動における分配傾向を実際に規定するかどうかを実証的に検討するため、大学生被験者を対象にした一連の一般交換実験を実施した。これらの実験には、北海道大学、札幌学院大学、淑徳大学、三重大学(以上、日本)、Loyola University Chicago,Grand Valley State University(以上、アメリカ)の学生総計600名程度が参加した。これらの国際比較実験の結果、文化差を超え、「資源獲得における不確実性が増大するに伴いその資源が共有財としての性格をもつようになり、一般交換の対象とされやすくなる」という先の命題が経験的に確証された。なお、これらの実験的検討の結果は、マサチューセッツ大学で行われたHuman Behavior and Evolution Societyをはじめ、日本心理学会、社会心理学会、人間行動進化学会などで報告された。
|