本研究は、幼児の方言言語に関する、メタ言語意識を測定する研究方法を開発し、これを用いて幼児自身の方言一共通語の違いに関するメタ認知と使い分けの能力の発達過程を明らかにする。そしてこの知見をもとに、従来の単線型の言語発達理論に対して複線型の理論を開拓することを目的にした。 具体的には、パーソナルコンピュータを利用した方言に関するメタ認知測定のプログラムを開発し、以下の三種類の課題を作成し、予備実験をおこなった。(1)音声分類課題:正しい有声化の例と誤った有声化の分類が可能かどうかを調べる課題、(2)文法分類課題:場所格を表す方言女子のうち、正しい事例と誤った事例を分類できるかどかを調べる、(3)模倣課題:成人の方言音声資料を提示してそれを模倣できるかどうか調べる課題、の3種類を実施した。 この課題のほかに、二重刺激法による、子ども自身の音声記述メディアの創造過程を追跡する課題を開発した。そのままかな文字で書くと区別することが不可能な方言語彙を子どもに提示して、それを区別できるように表記を工夫させる課題を開発実施した。
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