本年度は脳卒中後の片マヒ患者が鯵の開きを解体する過程の発達を分析した。片マヒ患者以外にも統制群として学生の同一の行為も分析した。対象者は神奈川リハビリテーション病院で紹介された者で、同病院の理学療法士のグルーフの指導を得て観察と分析が行われた。分析は以下の観点を中心に行われた。 (1)鰺解体過程で箸は何度鯵に接触したか (2)接触中、身を取ることに成功した行為率はどのように推移したか (3)時間経過の中で、行為は鰺のどの部分に接触の焦点を当てたか (4)時間経過の中で、「身を取る」、「皮や骨を取る」など目的の異なる行為はどのように分布していたか (5)時間経過の中で、鰺の全体の配置換えするするような行為にはどのような種類があり、どのように分布したか (6)微小な行為の修正(マイクロスリップ)はどこで現れたか 以上のような分析によって鰺の身を取るという、鰺全体への注意と、部分の身というローカルな部分への注意が同時に進行している大学生に対して、片マヒの患者は、ローカルな注意が優勢があることが明らかになった。
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