研究概要 |
複数の質問項目に対して,賛成から反対までの4〜7段階の評定を求め,それらを加算して尺度にするというリッカート法は,しばしば「無反省な数量化」として理論的には退けられながら,実際の心理学の研究においては,大変高頻度で用いられている。この方法の正当性を確認するために,理論的な整備と経験的な検討を行なった。 まず,理論面では,リッカーと尺度の正当性の検討のための基本的方法である「多重数量化を伴う非線形主成分分析」を,オランダの2名の研究者とともに最終的な定式化を行い,'Non-metric principal components analysis of categorical variables with multiple quantifications'という論文にまとめてPsychometrika誌に投稿した。 経験面では,この方法を用いて,パーソナリティ測定に関するいくつかのデータ・セットを分析し,次のような暫定的な結論を得た(1999年度の教育心理学会大会で発表)。 1.非計量的主成分分析で与えられるカテゴリーウェイトが,リッカート尺度で与えられる等間隔な整数値と著しく隔たることは少ない。 2.リッカート尺度の主成分分析によって得られる多次元的特性は,数量化III類では得られないことが多い。
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