鳥取県智頭町および京都府美山町をフィールドとして、過疎地域を活性化しようとする住民活動に、研究者が実践的に関わりつつ、住民自治に向けての「民力」向上、高齢社会におけるコミュニティづくり、地方からの情報発進力の強化等を軸とする地域活性化の試みを記録、検討した。 智頭町においては、すでに集落活性化運動を行なっている14集落の住民(成人、高校生以下の青少年のそれぞれ)、および、まだ同運動を行なっていない75集落の住民に対して、意識調査を実施した。その結果、同運動を行なっている集落の住民には、(1)運動に消極的ないし否定的な住民、(2)運動に積極的に参加しているが、従来からの寄り合い・総事と同運動を渾然一体のものとして捉えている住民、(3)寄り合い・総事と同運動を区別した上で、同運動に積極的に参加している住民という3つのタイプが存在することが見出された。これらのタイプ分類によって、14集落それぞれの特徴を検討した。また、智頭町において誕生した、郵便配達職員による独居老人のケアシステム、「ひまわりシステム」の伝播過程について、鳥取県全県下への伝播過程、および、郵政省の指導による全国230過疎地域への伝播過程を実態調査した。 美山町においては、現在進行中の「住民参加による公設民営の地域医療づくり」に取り組む中心人物にインタビューを行ない、同地域における規範の変遷を検討した。また、住民参加型の公設民営診療所の組織的、経営的側面についても検討を開始した。
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