研究概要 |
1,本研究は,集団場面における聴覚障害幼児の手話及び音声言語による会話を詳細に観察・記録し,その発達過程を跡づけるとともに,得られた知見を健常幼児のそれと比較することにより,言語習得の基盤となる会話能力の発達に関する知見を得ることを目的としている。 2,平成11年度は,手話の導入を積極的に行っているAろう学校幼稚部年少,年中,年長クラスを対象とし,自由保育場面での聴覚障害幼児同士の会話をビデオにより観察・記録した。 3,得られたビデオ資料から聴覚障害児同士の会話のエピソードを抽出した。会話エピソードを,手話,身振り,音声語,キューサインなどにより詳細に書き起こし,その際,社会的な行動や文脈的な特徴なども付記した。 4,得られた資料をもとに現在,手話,身振り,音声語(発語,キューサイン)などの各種モードが会話の中でどのように用いられているか,それぞれの使用モードが会話においてどのような機能を担っているか,また,年齢や各幼児の生育歴によりどのように変化しているのかに関して分析を進行中である。特に,相手や状況に応じて様々なモードを使い分けていること,またミス・コミュニケーションの状況で,修復のストテラジーを様々に発達させていることなどが明らかになりつつある。 5,平成12年度には,さらに観察資料を追加すると共に,健常幼児のそれ(先行研究など)と比較することにより,言語習得の基盤となる会話能力の発達についての検討を行う。
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