研究概要 |
【目的および方法】 昨年度までの研究により、成人女性のアイデンティティ発達変容プロセスは、現在(中年期)のライフスタイルよりも・青年期のアイデンティティ形成の基盤を「個」と「関係性」のいずれにおくかによって、大きく異なることが明らかにされた。本年度は引き続き面接調査を行い、これらの【個の達成志向型】と【関係性志向型】の中年期危機の体験のし方とその解決の方向性を検討した。40・50代の女性、そのうち両立群(I.教師,II.研究者,III.その他の専門職)14名,および主婦群6名、合計20名を調査対象とした。 【結果および考察】 1.青年期以降のアイデンティティ変容のプロセス:【個の達成志向型】(16名)は、その後、(1)職業アイデンティティ達成型(12名)、(2)職業アイデンティティ挫折型(1名)→【関係性志向型】へ移行,(3)職業的モラトリアム型(3名>へ分化、変容していた。【関係性志向型】の4名は、その後家庭を基盤とした関係性の深化が見られた。 2.中年期のアイデンティティ危機の特質:中年期のアイデンティティの危機は、中年期のNegativeな変化(岡本,1985)にともない、(1)中核的自己(自分が関与・達成してきたもの)と、(2)役割のバランス、家族・夫への関与などトータルな生き方、の2つの次元でアイデンティティの問い直しが行われることが示唆された。 3.中年期のアイデンティティ再体制化のパターンには、(1)精神化、(2)社会化、(3)純化の3つのパターンが見出された。
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