研究概要 |
平成11年度では,(1)熊大式コンピタンス尺度(児童生徒用)の開発,(2)熊大式コンピタンス尺度(児童生徒用)の妥当性と信頼性の検証に焦点を当てて研究を行った.平成12年度においては,研究課題3(児童生徒の問題行動との関連性及び熊大式コンピタンス尺度による問題行動(8種類)の判別分析)を行った.小学生(535名),中学生(701名)から得られたデータを分析し,以下の結果が得られた.小学生においては,予測変量として35項目(コンピタンス尺度項目)を用いたときの重相関係数は,すべて1%水準で有意で,高い順に,希死念慮.487,総合的問題行動.465,いじめ加害.367,軽度のいじめ被害.360,重度いじめ被害.338,非行.299,登校拒否・不登校.270であった.5個の予測要因にまとめたときの重相関分析では,社会的コンピタンス,総合的自己評価コンピタンスの2つが登校拒否・不登校以外の6個の基準変数の予測にすべてに有効であった.認知的コンピタンスと生活コンピタンスは,非行の予測に有効であった.身体的コンピタンスは重度のいじめ被害と軽度のいじめ被害の予測に有効であった.中学生においても,予測変量として35項目をもちいたときの重相関係数はすべて有意であり,高い順に,希死念慮.457,総合的問題行動.427,軽度いじめ被害.391,重度いじめ被害.331,非行.303,いじめ加害.280,及び登校拒否・不登校.257であった(いじめ加害のみ小学生の順番と不一致).5個の予測要因にまとめたときの重相関係数では,身体的コンピタンスは5個の基準変量の予測に有効であり,認知的コンピタンスと総合的自己評価コンピタンスは4個,社会的コンピタンスは3個,生活コンピタンスは2個の基準変量の予測に有効であった.その他,7つの基準変量に関する35項目の予測変量による平均値間の差についても検定(t検定)し,有効な変量を明らかにした.
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