研究概要 |
本報告書(平成11〜13年度科学研究費補助金研究成果報告書)は,以下の6章及び付録から構成されている(138ページ).(1)コンピタンス心理学の理論,(2)熊大式コンピタンス尺度の開発,(3)コンピタンス尺度の信頼性と妥当性に関する研究,(4)コンピタンス尺度成績と児童生徒の問題行動,(5)コンピタンス尺度による問題行動の判別予測,(6)児童生徒の問題行動の心理療法過程のアセスメント:コンピタンス尺度の適用事例,及び(7)付録(質問紙等).本報告書では,すでに論文として報告された5つの研究と学会発表論文集に掲載された9論文と掲載予定の2論文を基礎にして作成された.本報告書では,以下の点が明らかにされた.(1)熊大式コンピタンス尺度は,(1)因子分析(グループ主軸法),(2)信頼性係数(Cronback's alphas),(3)収束妥当性(スナイダー希望尺度,バーターの認知されたコンピタンス尺度,ヒルドレス感情・態度尺度との関係)などの統計処理を行った結果,妥当性と信頼性が高い尺度であること,(2)コンピタンス尺度成績と問題行動との間に密接な関連があること,(3)コンピタンス尺度による問題行動の判別分析の結果,的中率70%前後(66.0%-75.7%)の判別力があること,(4)熊大式コンピタンス尺度は,因子別・項目別一覧票による得点の推移をみることにより,クライアントのコンピタンスの機能状態(ないし機能不全状態)を客観的に把握(査定)するアセスメント・テウールとして有効であることなどが明らかにされた.
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