平成12年度は引き続きロールシャッハ・テストデータを収集してデータプールを増加させると共に、プールされているデータから性別・年齢がほぼ等しくなるようにサンプリングして作成した男女各130ケース計260ケースのデータに基づき、各図版のロールシャッハ反応を検討した。 このデータに基づいた各図版の「反応出現頻度表」「反応領域図」から、P反応を始めとするロールシャッハ反応に関して、暫定的なものながら、以下のような結果を得た。 (1)全図版の「顔」反応を検討した結果から、第I図版における「動物の顔」反応が20%以上の出現率を示していることがわかった。従来、第I図版のP反応は「こうもり」「蝶・蛾」のみであったが、「動物の顔」反応が片口法のP反応の基準(6人に一人)を越えているのでP反応として追加してよいと考えられる。 (2)「四足獣」反応がP反応とされている第II図版、第VII図版及び第VIII図版を検討した結果、第VII図版においてはD1領域の「四足獣」反応はP反応の基準に達していないことが確認された。一方、第II図版及び第VIII図版では「四足獣」反応の出現率が基準に達していることが再確認された。したがって、第VII図版の「四足獣」反応はP反応としておくことが適当でないと考えられる。 今後の研究の方向としては、ロールシャッハ・テストデータをさらに増加させて知見を確実なものにしていくと共に、最終的に全図版のP反応の再検討を行い、従来のP反応リストと本研究の結果得られたP反応リストを比較することによって、現代日本人の人格特徴を考察する予定である。
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