本研究は、今日の日本の国際化、多文化化状況の中で、外国籍児をめぐる問題に焦点を当て、日本語教室におけるフィールド縦断観察によって、人的リソースや組織の公式・非公式な変化が、日本児および外国籍児の社会文化的認識発達にどのように関係するかを明らかにすることを目的とした。 11-12年度は、中、小学生の日本語教室での活動観察の他、メインストリームの教室での日本児、外国籍児の相互作用の観察を行い、両場面の比較をした。その結果、外国籍児の在日時間の継過にともない、両場面での行動(相互作用の質量)に差がなくなる傾向が見られた。また、外国籍児に1対1でサポートする補助教員の制度が短期で廃止されると、それに代わる非公式なサポータが自然発生的に出現するなど、リソースの流動的活用システムが、制度にとってかわる様子が見られた。外国語を母語とする外国籍児にとっての日本語習得について、社会的リソース利用の観点から説明づけると同時にリソースとなる周りの環境の変化の規則性を共構成というキー概念で説明した。
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