本研究は、1980〜1982年に生まれ、生後12か月時に愛着を測定されている2つのコホートの計60名の子どもの18年後の追跡的調査である。愛着理論によれば、乳児期の愛着はその後の発達を予測できるとされている。そこで、本研究では、現在19歳になったコホート1の子どもを対象に、成人の愛着を測定するAdult Attachment Interview(AAI)、現在の対人関係、心理的適応を測定し、また、回顧的に幼児期から現在までの生活史を調べて、欧米で論議されている愛着の連続性と発達の予測性の仮説を検討することをねらいとしている。 この目的のために、今年度は2つの調査を実施した。第1の研究はコホート1の子どもの調査である。コホート1の子どもの現在の所在を確認したところ、約半数の14名が判明した。うち12名(女子10名、男子2名)が調査への協力を承諾し、1日にわたる個別面接調査と測定を実施し、また、留め置き法による数種の測定も行った。さらに、幼児期から現在までの生活史やライフ・イベントについては母親からも情報を得た。第2の研究はわが国でのAAIの妥当性を検討するためのものである。同じ19歳である大学1年生26名を対象に、AAIを含む上記の調査を個別面接と留め置き法で実施した。また、行動、パーソナリティの評定をするためにAAI時のVTRによる記録もした。 AAIは1〜2時間にわたる面接であり、それを逐語的におこしてプロトコルを分析するという方法である。現在はプロトコルの作成が終わり分析を進めている。AAIは純粋にプロトコルの分析であるために、日本語の特徴を加味した分析の基準が必要でないかという観点から検討を加えている。
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