研究概要 |
本研究は1980〜1982年に生まれ,生後12か月時にStrange Situation Procedure(SSP)により愛着を測定されている、2つのコホート計60名の子どもの18年後の追跡的調査である.愛着理論によれば、乳児期の愛着はその後の発達を予測できるとされている. そこで,本研究では,19歳になった調査協力者を対象に,成人の愛着を測定するAdult Attachment Interview(AAI),現在の人間関係、心理的適応を測定し、また,回顧的に幼児期から現在までの生活史を本人および母親から得て,欧米で論議されている愛着の連続性と発達の予測性を検討することをねらいとした研究の3年目である. 今年度は,(1)所在調査によって連絡がとれるようになったコホート2のサンプル14名とその母親に面接調査と質問紙調査を実施した.さらにAAIについては分析のためのトランスクリプトを作成した.(2)2年にわたる計25名のケースと昨年実施した大学生のトランスクリプトをAAIのCoding & Classification systemにしたがって分析できるか検討した.(3)その結果,日本人にAAIを実施する際の問題について,論文を作成し投稿の準備をした(3月に英文学術誌の投稿の予定).(4)AAIについてさらに検討を加えるために,AAIに代わる測度として最近開発されてきたAAP(Adult Attachment Projective)についてのセミナー(於,Mills College, CA, USA)に参加し,著者のCarol Georgeと相談して日本版の図版を作成し,大学生と母親のデータを収集して検討した.(5)コホートの調査協力者の生後12か月時の愛着(SSP)のデータの再分析の準備を始めた.
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