本研究は、総務庁主催『世界青年の船』の日本人参加青年(20〜30歳)を対象にして、その参加体験の意義を心理学的に調査した。第1に、下船1年半後に、参加者への郵送による質問紙調査をおこない、乗船の意味と下船後の相互交流の実態などについて追跡調査をおこない、国際交流・異文化交流事業としての成果を明らかにした。第2に、1事例のPAC分析による乗船直後と下船直前の「異文化体験のイメージ」の比較をおこない、対人関係と自己への気づきの変化から、乗船経験の積極的意義を明らかにした。第3に、下船直前のグループワークとしてKJ法を用い、乗船によって得られた異文化接触の意義を体験的に抽出させ、整理をおこなった。第4に、郵送による質問紙調査により、乗船前、乗船中、乗船後の諸要因の関連について分析した。第5に、参加青年4人の事例を記述し、乗船前と乗船中の適応問題について考察し、異文化接触との関連について検討した。全体的に、『世界青年の船』の積極的な意義が明らかにされた。また、異文化接触経験下における援助の方法や内容についても有益な示唆が得られた。
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