MMPI新日本版を用いて、1185名の男子大学生、40名の男性精神分裂病患者、および、55名の少年鑑別所に収容された少年について、以下の変数の粗点、およびT得点の平均値、標準偏差、中央値、および、最頻値といった基本統計量を求めた。すなわち、13個の基礎尺度、16個のしばしば使用される追加尺度、13個の内容尺度、52個の下位尺度である。また、各集団についてコードタイプの出現頻度を求めた。さらに、全550項目について、集団ごとに是認率を求めた。 基礎尺度については、標準化集団と各集団との比較を行なった。大学生集団では、いくつかの尺度で統計的に意味のある大きな差が生じたので、大学生に成人の解釈仮説を適用することに注意が必要であることが明らかになった。 分裂病患者群では、個々の被検者の教育歴および年齢といった要因をマッチングさせた標本を標準化集団から抜き出し比較した。その結果、第8尺度で統計的に有意でかつ大きな差が得られた。この結果、MMPI新日本版は分裂病という集団に対して、ほぼ原版と等価であることが示唆された。 鑑別所少年群では、個々の被検者の年齢をマッチングさせた標本を標準化集団から抽出し、比較した。その結果、第4尺度で統計的に有意でかつ大きな差が得られた。この結果も分裂病群の場合と同様、少年非行群に対してもMMPI新日本版が原版とほぼ同様の結果を示すことが明らかになった。しかし、第6尺度も大きく上昇している点は、原版ではそれほど多く見られないため、処遇をめぐる日米の差異といった観点から考察された。
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