研究概要 |
今年度は、本研究課題における第2回目の調査を実施した。今回の調査では、先回の調査(平成12年度実施)結果による解析に基づき、新たな測度を加えて構成された調査票を用いた。新たな調査票は、以下のカテゴリから構成された。まず、第1に、(1)向集団行動の尺度として、(1)「対権威行動測度」(2)「対成員行動」の2種を分離した。さらに、これらの行動測度においては、その行動を取ることによる損失(コスト)の程度、および、自発的主張性(アサーティヴ)の程度を要因として、高低4組の行動指標を尺度化した。第2に、(2)権威への権限付与(empowerment)を、新たな権威評価尺度として、採用した。第3に、(3)集団同一視程度として、(1)「成員性意識測度」(2)「集団愛着測度」(3)「地位査定測度」を構成した。さらに、先行研究で影響度の再検討が必要とされたTylerらによる(4)「リスペクト測度」も集団相応的にワーディングを改良し、加えた。第4に、手続き的公正の集団価値性との関わりで、集団価値が自己価値にいかに反映するかを探索的に検討する目的に基づき、(4)自己価値性(self-worth)の尺度を構成した。今回定義した自己価値性は、「社会的幸福感」「存在意義」「社会的自己受容」の3下位概念からなる。従って、自己価値性尺度は、(1)「社会的幸福測度」(2)「存在意義測度」(3)「社会的自己受容測度」より構成された。以上の発展的改良点に加え、従来からの中心的尺度である(5)公正尺度、(5)公正基準尺度(1)「関係性」(2)「道具性」が用いられた。なお、公正尺度は、先行研究を踏まえ、手続き的公正と結果公正の2種で、それぞれが一般公正ならびに個別公正で測度化されている。 調査は、京都市有権者1180人を対象に、平成14年1月下旬から2月初めにかけて実施された。回収日は、2月2,3,4日。有効回答数は、688(現時点)である。データは、今年度から次年度にかけて、SEM(共分散構造モデリング)を主な手法とした多変量解析により分析される予定である。
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