研究概要 |
本研究は、主に非言語的データ(自己写真)をもとに大学生の目標と行動の関係を比較することを目的として計画していた。最終的には日米比較を目的としているが、本年度は日本におけるデータの収集を行った。 被験者の目標や普段の行動を言語的に記述してもらう質問紙調査を行った後、2週間の自己写真撮影をおこなった。すなわち、被験者はアラームとカメラを携帯し、一日5回ランダムな時間に鳴るアラームの合図に従って自分の現在の行動をあらわす写真を撮った。このような方法によって得た70枚の「自己写真」を行動に関する非言語的データとして分析した。実施期間は1999年10月〜12月の間であり、被験者は大学生1,2年生(男16名、女17名、合計33名)であった。被験者謝礼として5000円を支払った。 分析の観点は、目標を「達成」として表現するか、「プロセス」として表現するかによって、言語的データと写真データを比較することが中心である。この観点を確立するため、試みに園田・ロイヤス(1999)、ロイヤス・園田(1999)で得た日米の被験者の20枚の自己写真を再分類したところ、日本人の写真はきわめて演出的であり、時間の経過が読み取れない、写真の中で物事が完了しているかのようなものが多いが、米国人の写真は演出が少なく、時間経過中(プロセス的)であることが示された。すなわち、従来日本人は目標を明確に語らず、プロセス重視であるといわれてきたが、写真撮影法では、日本人が必ずしもプロセス的ではないことが示唆された。この観点については、Sonoda and Leuers(2000)にまとめている。本研究のデータもこの線に沿って解釈できる。次年度は、米国で同様の実験を行う予定であるが、日米比較することによって、非言語的に示される日本人の目標や行動の特徴がより明確になることが予想される。
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