■本研究は、視覚障害者への様々なボランティア活動において、諸団体が抱えている問題点を明らかにし、より高度なボランティア活動を推進するための方法を明らかにしようとするものである。■平成11年度は、ボランティア活動の実態と抱える問題点を明らかにすることを目的とした。具体的には、20箇所程度の点字図書館を訪問し、図書館職員及びボランティア活動家を対象に、以下の点について、聞き取り調査を行った。■・現在どの様な、ボランティア活動がなされているか。・そのボランティア活動についての基礎的技能、技術はどの様に獲得しているのか。・ボランティア活動において現在抱えている技術的問題点はなにか。・ボランティア活動が抱えている組織的あるいは人間関係についての問題点はなにか。・どの様な解決方法を探っているのか、あるいは採用しているのか。 ■点字図書館におけるボランティア活動は大きく次の三つに分けられる。(1)点訳、(2)音訳、(3)その他である。■どの点字図書館においても点訳・音訳のための職員が配置されているが、利用者の多くの要求を満たすためには、職員だけではとても間に合わず、ボランティアにほとんどを依存しているのが実状である。このため職員の仕事は、ボランティア養成にかなりの時間を割いている。どの図書館においても週に1回程度、半年から1年の期間でボランティアを養成している。また、ボランティアの技能のレベルを落とさないような工夫も大きな問題である。さらに、近年DAISYというような新たな取り組みが始まっており、それへの対応も少ない職員の中で苦労しているようである。■その他の中には、作業ボランティアが含まれる。作業ボランティアの養成は特にはないが、高齢ボランティアの活用など少しでもやる気のある人達に依存している。
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