■本研究は、視覚障害者への様々なボランティア活動において、諸団体が抱えている問題点を明らかにし、より高度なボランティア活動を推進するための施策を模索しようとしたものである。■平成12年度も、前年度に引き続き、ボランティア活動の実態と抱える問題点を明らかにする事を目的とし、全国の点字図書館、視覚障害者センター、ボランティアセンターを訪問し、職員等を対象として、聞き取り調査を行った。■内容は、ボランティア養成講座に関して、募集定員、募集の際の各種条件、ボランティアとしての活動に関して、活動方法、勉強会等についてであった。■どの点字図書館等においても、点訳・音訳のための職員が配置されており、精力的に作業が進められているが、利用者の要求を満たすためには、間に合わず、ボランティアの活動にその多くを依存している。職員の仕事は、むしろこのボランティアの養成及びその世話等が主となっている。■一方、養成講座を修了したボランティアは、点字図書館等を中心とするボランティア団体に入会し、活動をする事になる。しかし、実質的に活動を開始する人は養成修了者の2〜3割程度であり、必ずしも有効な人的資源の利用が行われているわけではない。■ボランティア団体内における人間関係等が会の活動力に大きく影響する場合もあり、また、近年のパソコンの導入が、一方で点訳活動を容易にしながらも、高齢者等においては、その事によって、身の置き所がなくなるというような事態を引き起こしている。■ボランティア活動の技術的な問題に関しては、点字図書館の職員の指導や各種講演会、勉強会等によって、常に更新されており、その水準はかなり高いレベルを維持しているものと思われる。
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