配偶者との死別はストレスフルなライフイベントである。配偶者と死別した中高年者の死別後の長期にわたる適応過程を明らかにすることを目的に1984年に実施した初回調査の対象者に15年を隔てて追跡調査を実施した。初回調査の対象者の現住所を確認するために住民票を請求し、死亡や除票となった者を除いて調査の協力を要請する手紙を投函した。初回調査対象者184名中55名(男性11名、女性44名)に面接することができた。有効な調査票を得ることができた51名の対象者について調査結果を分析した。 調査対象者の平均年齢は81.6歳(72〜96歳)で、そのほとんどが後期高齢者になっていた。調査対象者は、持病などの病気のために74.5%が通院していたが、主観的健康感は56.8%が良いと回答していた。日常生活では交通機関を利用して外出することは多くはなかったが(ほとんど外出しないが39.2%)、8割以上の者が家庭で何らかの役割を持ち、生活は充実していると回答していた。これらの回答から多くの対象者がサクセスフルエイジングに達しているように思われた。亡くなった配偶者を8割以上の対象者が思い出したり、考えたりすると回答していたが、そのほとんどはポジティブな感情体験であった。調査対象者の9割が配偶者の死の悲嘆から立ち直ったと回答しており、死別から長い年月を経て配偶者の死を受容するに至ったことが示された。 配偶者の死への対処とサクセスフルエイジングとの関連については、初回調査のデータを合わせて分析する必要があり、現在その作業を進めているところである。
|