まず第一に、「情報生活学」という理論的な展開であるが、「情報化とライフスタイルの変容」(橋元良明・船津衛編『情報化と社会生活』第4章、2000年2月刊、北樹出版)という論文で、本研究に関わる枠組みを提出しておいた。その中では、「友人志向」と「家族ばなれ」という表裏一体となる傾向を指摘したが、その根拠となるデータとしては、主として、総理府や総務庁などの官庁や民間研究機関および大学の研究者から発表された既成の調査報告書に掲載されたものを拳げている。この論文ではさらに、情報化による家庭内外の情報の流れの変化について考察し、「情報システム」としての「家族」のあり方を「タテ型」「求心型」および「遠心型」の3つのモデルにまとめた。 第二に、以上の理論的な枠組みに沿って、青少年を対象に2回のアンケート調査を行った。一つは、首都圏の複数の大学で、300名あまりを対象に行ったものがある。ここで、対象大学の選定は、恣意的なものである。この「大学生調査」では、最近急速な普及がみられる携帯電話やPHSの所有や利用について、さまざまな質問を行い、それと友人関係などとの関連をみることが主たる目的であった。もう一つは、東京都の高校生を対象に行ったものがある。この「高校生調査」では、対象高校をランダムに選定し、各高校の第2学年の1クラスを対象に調査をした。ここでは、高校生の生活のさまざまな面や諸メディアの所有・利用についての質問を行った。しかしながら、分析は、まだ単純集計レベルに留まっており、詳しい分析は今後、時間をかけて行うことになる。
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