1.パーソンズの「第二のジンメル論」の執筆年につき、ハーヴァード・アーカイブズ調査やW.バクストンの主張などの検討にもとづき、1939年であると判明した。 2.本草稿成立の事情につき、シカゴ大学出身のH.P.ベッカーや、同大学教授であった、L.ワース、E.シルズ、およびヨーロッパからの亡命社会学者であるK.ヴォルフらとの関係が重要であり、その延長上にD.N.レヴィンの業績があることが判明してきた。 3.ジンメル研究の新たな動きと、パーソンズ・ルネサンス以後における今回の草稿の新発見とをリンクさせた、新たな次元での両者の関係の理論的再検討が必要であることが判明した(「日本ジンメル研究会・第4回全国研究会」(99年7月)で報告)。 4.11年9月にハーヴァード・アーカイブズ調査を行い、K.ヴォルフ、M.ウェーバー、A.シュッツ、G.H.ミードらとの新たな理論的関連を示唆する多くの未知の資料(パーソンズ自身の草稿)を見いだした。 5.ジンメルとパーソンズとの新たな理論的関係の解明を核としながら、上記のような、ヴォルフ、ウェーバー、シュッツ、ミードらとの理論的関係を新たに見直す新資料に基づき、新たな次元でのパーソンズ理論像の再構築が必要であることが判明してきた。 6.D.N.レヴィン、ハーヴァード大学社会学部長らとの議論により、上のようなプロジェクトを国際的に進めていくことが確認された。
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