1.パーソンズージンメル関係論への新しいアプローチを核としながら、さらにMウェーバー、Aシュッツ、S.フロイト、シンボリック・インタラクショニスト、等との関係についても新資料を使った新たなアプローチが可能であることが判明した。 2.パーソンズ論の新たなテーマとして、シカゴ学派との関連、ユートピア論、フロイトとの関係の抜本的見直し、グローバル化論、現代社会論、現代文明論などを、新資料を使った新たなアプローチによって提起していくことが充分に可能であることが判明した。 3.平成12年5月、関西社会学会シンポジウム(共通テーマ「シカゴ学派社会学の伝統-今、何を学ぶか-」において、パネリストの一人として、上のような観点から、「シカゴ学派とT.パーソンズ」と題して報告を行った。 4.グローバル化論、現代社会論については、『社会学評論』掲載の「パーソンズにおける「社会的共同体」と公共性」(12年3月)や、『ソシオロジ』の「社会学と国民国家そしてグローバリゼーション」(12年5月)、また共著『社会学の理論』所収の「世界システムと社会システム」にそれぞれ発表した。シカゴ学派との関連については、「シカゴ学派とタルコット・パーソンズ」(共著『シカゴ学派の総合的研究』所収、13年3月発行予定)に、ユートピア論との関連については「ナショナリズムとホロコースト-もう一人のパーソンズをもとめて」(共著『アメリカ社会学の最前線』所収、13年3月発行予定)にそれぞれ発表予定である。 5.平成12年8月21日〜9月7日の間、ハーヴァード・アーカイブズ調査を行い、新たに995頁分のパーソンズ未公刊資料等を複写し、データ・ベースを作成し、分析と読解作業に従事し、発表予定の諸論文にその一部を利用した。また、これら複写済みの新資料を全面的に用いて、パーソンズ論の抜本的見直しを提起する単行本を刊行すべく準備中で、またパーソンズ未公刊資料のうち、日本語訳を行う意義を有すると考えられるものを、精選し、翻訳を刊行すべく準備作業に入った。
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