本年度は、研究協力者の協力を得つつ、前年度行った「島根の高校生の生活意識調査」(回収数1700)について、コードブックの作成、データ入力、エラーチェック、基礎集計、基礎分析を行い、さらに、種々の研究会の開催の上、データの応用分析を行い、報告書を完成させた。 報告書は4部からなり、第1部の「分析編1」では島根県の人口移動について、基礎的な考察がなされている。第2部の「分析編2」では、「島根の高校生の生活意識調査」にもとづいて、第1論文「高校生の意識と行動」で、調査全体についての基礎分析がなされた後に、さまざまな応用分析が行われている。第2論文「地方高校生の地域意識とUターン」では、地域的愛着の高い高校生がUターンを志向することが明らかにされる。第3論文「定住志向と家族意識-島根の青年定住政策に向けて-」では、高校生の家族意識が定住志向との関係から議論される。第4論文「トラッキングとネツトワーク-高校生の自己実現についての考察-」は、家族や学校が「既定の道筋」とでもいうべき若者の将来の道筋を作り出す力をもっていることと、その道筋からの若者の離脱・飛躍について考えたものである。第5論文「高校生の幸福感」は、幸福のいくつかの次元とその既定要因についての論考である。第6論文「高校生の愛校心」は校内の良好な人間関係や学校への満足度が愛校心を生み出すことを明らかにしたものである。 第3部および第4部の「資料編」には今回の調査で用いられた調査票、調査スケジュール、サンプリング方法、コードブック、関連資料、および、かなり詳細な基礎集計表が掲載されている。基礎集計表は、今後、さまざまな立場からなされる分析や地域行政施策のために役立つ情報になると思われる。
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