平成11年度は、秋田県の鷹の巣町・阿仁町及び大分県の山国町・蒲江町の4町をフィールドに、過疎・高齢化地域の互助・福祉活動の概要を把握した。現時点で判明しつつあるのは次の諸点である。 1、国や県などの制度や政策に対する構造的・組織的対応(福祉計画の作成、委員会の設置など)には自治体間に殆ど差異が無い。だが、具体的対応には差異ないし特色が見られ、関係者や住民の互助・福祉活動意識にも違いが現われている。 2、これらの差異・特色・違いは、当該地域の歴史や伝統にも由来するが、直接的には町長・議員・オピニオンリーダー・サブリーダーなどの意向と住民への意向の浸透の度合いに由来する。 3、リーダー層に優れた着想と高い役割自覚があるか、住民に着想の優劣や自覚の高さを正確に判断する力があるか、リーダー層に住民をリードするねばり強さがあるか、住民に参画・参加と結果に対する責任の自覚があるか、などが鍵になっている。 4、トップリーダーが努力している町、サブリーダーが努力している町、福祉専門職者が努力している町、ボランティアが努力している町など様々である。それら全体が相互に理解・協力しあう社会的・文化的・心理的基盤の形成が今後の課題である。 以上の点をより正確に検証し、集落レベルの実態を把握することによって、「良質な互助・福祉活動」が実践されるための条件を検討することが次年度の主要な課題である。
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