本研究の概要は次の通りである。(1)研究調査対象地として秋田県鷹巣町・阿仁町、大分県浦江町・山国町の4町を定め、主として地域福祉活動(合地城福祉計画など)の概要を把握した。(2)当該地域で特に顕著と思われる互助・福祉活助について聞き取り調査を実施した.(3)互助・福祉活助の展開に対する祉会教育の意義に関して聞き取り調査を実施した.(4)関連する文献について、可能な範囲で当たった。 研究の経過において気づいたのは次の点である。(1)リーダー各層(町のトップリーダーから集落の世話役まで)の資質が互助・福祉活動の実態に強く反映すること、(2)集落レベルでは、加えて、当該集落が培ってきた相互交流の内実(人間関係や社会関係)が互助・福祉活動の実態に反映すること、(3)人間関係や社会関係の改善には、社会教育を通した住民の生涯学習が必要であること。 以上から、本研究をまとめれば、次のように整理される。 1)過疎・高齢化の進行を日常的に実感する住民に、それを生活課題として自覚させ得るか否かの鍵を握るのが地域社会各層のキーパーソンである。 2)名層キーパーソンの指導性と住民の課題認識の内実が、互助・福祉課題への諸種の対応を生み出す。 3)どんな実態であれ、互助・福祉活助が展開・向上するには、活助の組織化が必要になる。 4)互助・福祉活助の実態とその展開を観察し、必要な組織化を試み、活助を維持・創造するには住民の学習活動が必要になる。
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