現在、沖縄の開発・発展のあり方については基地問題ともからんで大きな議論をよんでいる。この中で主流を占めるものが、いかに所得をあげていくか、日本本土並みにするかという経済至上主義的な考え方である。県民所得が本土の平均と比べて約3分の2、東京の約半分という現状や、本土の2倍にもなる非常に高い失業率、とりわけ若年失業率が高いという自体がこのような経済成長至上主義的発言の根拠となっている。一方で、沖縄は、経済的な尺度では換算できない「自然の豊かさ」をもちながら、それを経済的な尺度に換算するためにリゾート、観光開発などを進め、環境問題を発生させてきた。この点については、宇井純などの環境派の研究者たちより批判が出ており大きな問題点となっている。そこで、本研究は筆者がこれまで研究してきた第三世界、とくにアジアにおけるオルターナティブな開発・発展(もうひとつの開発・発展)をベースに、「アジアとの共生」の視点から今後の沖縄のサステイナブルな開発・発展のあり方を考えるものである。現在の沖縄において必要なものは、たとえば自然との共生という思想をタイから学ぶなど、アジアとの関係を見直すことである。開発、発展のあり方は決して一つではない。サステイナブルな開発・発展に代表される「もう一つの」開発・発展のあり方をアジアから学ぶことは大きな意味があるのである。 3年目の2001年度は、最終年にあたるため、研究のまとめを行った。具体的には、2000年度のフィールドワークのデータをもとに最終報告書を作成した。
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