出稼ぎ労働問題の今日的意義と役割を明らかにすることを目的とする本研究の初年度は、平成12年度に予定している本格的な調査の準備期間と位置づけ活動を行ってきた。 具体的には、出稼ぎ労働者が多い北海道南部の自治体を訪れ、出稼ぎ労働者数の推移や出稼ぎ先の変化など現状の把握を行うとともに出稼ぎを希望しながら受け入れ先がない出稼ぎ経験者にインタビューを行い、昨今の出稼ぎをとりまく状況を聞く機会を得た。 また、出稼ぎの問題と過疎地域との関連で道外の状況も理解しておく必要があるので出張し自治体の聞き取り調査も実施した。その一方で出稼ぎ者を受け入れている複数の事業所(以前の調査で出稼ぎ者を多く受け入れていることがわかっている企業)を訪ね、長引く景気低迷の中で出稼ぎ労働力に対する企業側の対応の実態について聞き取り調査を実施した。これらの知見から平成12年度に予定している出稼ぎ労働者に対するアンケート調査の実施について、調査協力が可能な地域における団体(各自治体に組織化されている出稼ぎ援護相談所など)や全道レベルの北海道季節労働者組合協議会と打ち合わせを行い、次年度調査に盛り込む設問項目を検討しているところである。 他方で出稼ぎ労働市場、労働力訓練、技能形成などにかかわる文献資料の収集とその整理、テープおこしなどを行い、かつデータ解析のための設備備品を購入し次年度への準備を進めてきた。
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