研究課題/領域番号 |
11610198
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研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
赤塚 俊治 東北福祉大学, 社会福祉学部, 助教授 (40285656)
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研究分担者 |
八木沢 克昌 東北福祉大学, 社会福祉学部(シャンティ国際ボランティア会), 客員講師
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キーワード | ベトナムの児童 / ベトナムの社会福祉 / ベトナムの福祉施設 / ベトナムの家族 / ベトナムの貧困 / ベトナムの教育 |
研究概要 |
ベトナムにおける未就学児、児童就労及び孤児やストリートチルドレンの増加、障害児の遺棄問題は、1980年代後半のドイモイ政策以降の社会経済構造の変動や国民生活の目覚ましい進展と比例して顕在化してきている。特に、都市部や都市周辺地域においては、国民の生活環境の変化と所得格差の拡大や失業者の増加したことで、貧困家庭や家庭的に不安定にある環境の下で生活している児童ほど教育を受ける機会はもとより安定した生活保障が享受できない要保護児童が増加している。その社会的背景には、改革・開放政策によって、「新しい社会文化の獲得」、「産業化にともなう家族機能の変容」などが、児童と家庭環境を取り巻く環境の変化を生み、結果的に児童養護の機能低下を招いたともいえる。そのことが児童の生活環境にも大きな影響を与え、被放任児、被虐待児など要保護児童が抱える問題は、一層、多様化・複雑化になっている。特に、これまでの低所得者層や被保護層の児童問題に加えて社会経済構造の変化に伴う相対的貧困層の増加によって、児童の疎外感は一段と高まったように思われる。また、障害児においても治療、教育、訓練など障害児教育問題や介護の問題など数多くの課題を抱えている。特に、障害児に対する家族の関心が不足していることも否定できない。その最悪のケースが、遺棄される障害児が後を絶たず、障害児の基本的生存権すら保障されない場合が多々見られる。児童福祉施設は、重要な児童福祉サービスの社会資源となっていることは確かであり、緊急的に保護育成しなければならない児童に対しては、初等教育の機会均等化を踏まえつつ、緊急避難施設としての児童福祉施設の財政確保や専門職員の確保及び絶対数の不足解消を全国各地で展開することが求められる。さらに、児童の基本的生活の場である家庭に対する相談援助なども含めた、児童福祉対策の抜本的な改善が早急に図られることが望まれる。
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