1.ベトナム国内における障害の発生要因には、感染症及び中毒、外傷、薬物による物理的要因、染色体異常や胎児期の栄養失調などによるものが多い。特に、「障害」の特徴的要因として医療技術及び設備体制や貧困を要因とした「障害」が多いことは先進国との相違点である。また、現在も枯れ葉剤の影響によって奇形児が生まれるケースが多く、全国には約3万人の毒物被害の子どもがいると推定されている。 2.基本的な社会福祉支援策は、施設の量的拡大政策が進められている。特に、今年度実施した社会福祉施設調査での印象として、「対人援助サービス」というよりかは社会防衛的観点からの「隔離・保護」の意識が強い。具体的な社会福祉支援策を大きく分類すると(1)在宅(2)リハビリセンター(病院含む)(3)施設(4)障害児学校(5)職業学校などに分類される。その中心的な役割を果たしているのは「施設での保護、養護・育成」と「障害児学校における特殊教育及び職業教育」が中心となる。しかしながら、現在の施設と障害児学校はそれぞれの専門的領域が確立されていないために、施設と障害児学校の社会的役割と機能が不明確である。その背景には、「福祉」と「教育」との専門的役割・機能が分離しないまま発展してきた歴史的経緯がある。 3.今後の要保護児童の社会福祉支援策として、政府、省、区、地区などの行政単位、施設、障害児学校及び関係機関の相互の調整を行う組織を積極的に設けるなどの総合的連携のシステムの構築が急務である。その上で社会福祉支援策としての障害児施設の整備拡充や障害児教育保障の確立と障害児教育の充実化、医療・保健のサービス提供の充実化及び社会的自立に向けた職業訓練の充実と就労対策など法的整備も併せて推進することが障害児はもとより要保護児童に対する社会福祉支援策の重要な課題であろう。
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