研究概要 |
1999年度に行ったインタビュー・データの分析を行った。また関連の文献研究も行った。これにより組織論的課題はリーダーシップをもつメンバーの語る「物語」に注目するnarrative approachによって解明することが役立つことを明らかにできた。本研究の場合justification stories(正当化ストーリー),accusation stories(非難ストーリー),exposure stories(暴露ストーリー)という3つのストーリーが組織論的課題について現れることがわかった。すなわち親の会の相談活動に依存するばかりでなんら貢献することがないメンバーに対して(the free-rider problem)、それを正当化するストーリー、非難するストーリー、またそのようなメンバーの態度を惹起させているのはリーダーの体質にあるとする暴露的ストーリーがリーダー層のメンバーから語られた。これらのストーリーは、インタビューを行った調査者と被調査者の関係にしたがって変わることが見られた。すなわち、調査者が外部の人と見られた場合には正当化ストーリーが、調査者が内部の人と見られた場合には非難ストーリーが、また調査者が複数のリーダーのグループの中間者と見られた場合には暴露ストーリーが語られたのである。 なお、これまでの研究成果をまとめ、親の会の協力者に配布することができた。また米国New Orleansで開かれるAssociation for Research on Nonprofit Organizations and Voluntary Actionで研究成果の中間発表を行った。
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