この研究の目的は日本の難病児親の会の組織的課題、特にリーダーシップの問題を探求することであった。そのために21の親の会に関与し、6回のフォーカス・グループ・インタビューを含む質的インタビューで得たデータを分析した。この調査は参加的アクション・リサーチとして行われたために、親の会によって形成され、承認を受けた調査班とともに行われた。 これによって明らかになったことは、リーダーたちは親の会のもっとも深刻な問題は、会の外部にあるのではなく、会の内部にあると考えており、特に役員のなり手不足の問題は深刻であった。このなり手不足は3つの異なったパターンで説明されていた。それはそれぞれ「正当化」「非難」「暴露」と呼ぶことができる。すなわち「役員になれないのは子どもの病気のためである」と役員のなり手不足を「正当化」するか、あるいは、「みんな自分勝手だ」と「非難」するか、それとも、「古い役員が新しい会員が役員になるのを妨げている」と「暴露」するかという3つのパターンである。この3種の説明について認知図を使って表現してみた。 さらに、この問題をfree-rider problemとsocial loafingという二つの理論を用い、またleadership trapの概念、あるいはattribution theoryの理論を用いてこの結果を理解しようと試みた。実践の課題としてグループ・リーダーに対するコンサルテーション的援助を検討した。特にセルフヘルプグループの役員と会員の関係を理解するために「泉の中の島」モデルを提唱し、会員に対してorganisational socialisationを活発にすることを提言した。最後に研究調査論の課題として、日本の文化や参加的アクション・リサーチの倫理的問題を検討した。
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