現代の農山村は、過疎化が進行し、人口、戸数の激減と高齢化の急速な進行で集落が限界集落化してきている。このため、田畑や山林が管理できなくなり、耕作放棄地の増大と山林の放置林化によって「山」が荒廃の一途をだどりつつあり、保水力の低下となって下流域の都市住民や漁業者に大きな問題を投げかけている。 本研究では、大半が条件不利地域で占められている四国の山村を中心とした実態調査を通して山村再生の具体策を検討し、その道筋を明らかにしている。 その第1は、2000年4月に農林水産省が実施に入った条件不利地域に対する直接支払制度の内容と問題点を検討し、地域のもつ特性を生かせる制度に改善すべき点を明らかにしている。 第2は、農山村の直接支払制度を考えるとき、農業だけでなく、林業の直接支払制度の早期創設が山村再生に不可欠であることを問題提起している。 第3は、山村地域の「山」の荒廃による保水力低下等の環境保全問題に森林組合が大きな役割を果せる様な公的支援の必要性を明らかにしている。 第4は、条件不利地域にある農山村の住民が、自分たちの地域を自分たちの手で活性化していく、その主体形成の重要性を指摘している。 以上の4点を通して農山村の<人間と自然>の豊かさを創造していく方向を明らかにしている。
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