研究概要 |
公私立保育所に勤務する保育者の保育労働は、質・量ともに同質と考えられてはいるが、一般の評価や利用者の印象は異なる部分がある。例えば利用者に対して、親切か否か、保育への取り組みの姿勢が熱心か否か等、保育活動そのものにも影響するであろう内容に及んでいると考え、その要因を解明るための研究を続けている。 平成11年度の、保育現場の保育者の職務内容及び保育業務の分析等の先行研究に引き続き、平成12年度では、調査のための準備及びプリテストを計画し、実施した。その結果を検討し、次年度の本格的な調査の準備をした。平成13年度は、「公私立保育者の保育意識に関する調査」を実施し、集計分析をして報告書をまとめた。調査時期:2001年7月20日〜8月30日、調査対象:厚木市・相模原市・秦野市・伊勢原市公立保育所32カ所,661名、私立保育所54カ所1859名に対して郵送による調査を実施、回収率:744名40.02% 集計結果は1.設置主体は公立46.2%、私立53.4% 2.年齢は、20-24 26.6%,25-29 25.9%,30-34 12.7%,35-39 8.9%,40-44 11.4%,45-49 8.9%,50-54 3.2%,55以上1.7% 3.経験年数は、0-4 38.4%,5-9 25.0%,10-14 13.4%,15-19 8.3%,20-24 8.5%,25以上6.4% 4.雇用形態は、常勤86.6%,非常勤12.1% 5.転勤の有無は、無61.8%,有35.5%,不明2.7% 因子分析の結果 保育者としての意識の構造を知るために、因子分析を試みた。因子分析は主因子・パリマックス法を用いた結果、5因子解を適当と判断した。5因子による累積寄与率は44.6%であった。因子名は第1因子、専門性、第2因子労働条件、第3因子職場環境、第4因子自己充実感、第5因子社会的承認とした。作業仮説のうち、保育観と専門性は、やや未分化であっため、専門性と自己充実度に分け、保育観は専門性に含まれると考えると、おおむね作業仮説にそった因子を見いだすことができた。設置主体による差異が、どの因子に現れるかを因子得点の平均値で見たところ、第4因子をのぞいて他の4因子に有意差が認められた。その他、年齢や経験においても各因子に有意差がみられた。
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