本研究は、社会学教育において、教員が教室空間で教育コミュニケーションの補助的手段として映像を利用するための「素材ソフト」を実際に製作、評価することで、映像を利用した教授法発展に寄与すること。さらに、社会学およびその周辺領域において、映像がそれぞれの方法論の中でどのように位置づけられているか、また今後位置づけられうるのかについて、映像を積極的に利用している研究者・専門家から問題点のレビューをうけ、理論的に検討し、映像社会学に関する理論体系を整理することを目的としている。 本年度は3年計画の初年度として、専門科目の「アジア社会論」を想定したシラバスの作成、それに対応したテキストの執筆と既存映像資料の構成モデルを作成した。この過程に伴い既存映像資料のデジタル化作業と不足映像資料の収集と整理をも行った。また、国の内外の高等教育機関における映像メディアの活用事例を調査し関係資料の収集を行い、映像の教育利用と情報統合型のマルチメディア教材の今日的位置づけの基礎資料をとりまとめた。本研究における素材ソフトの製作ともにもう一つの目的の柱である、社会学及びその周辺領域における映像メディアの教育利用及び映像社会学(映像人類学を含む)に関する文献・資料を、国の内外のデータベース等を利用して検出と収集を行い理論面の構築をめざした。海外における動向の把握は次年度に実施することとし、本年度は国内の専門家に対するインタビューを実施し研究動向の把握にあてた。
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