本年度は3年計画の2年度目にあたり、初年度に引き続き専門科目「アジア社会論」の講義に対応した教材制作の実践を通して、社会学教育における映像の高度利用に関する知見を得ることに、その重き置いて行った。特に本年度はNanyang Technological University(Singapore)のDr.Joseph Sommervile教授から映像利用、とりわけマルチメディア利用に関するレビューをうけ、意見交換も行った。また、同教授らと共同でアジアの稲作をテーマとした大学教養課程における社会学の教科書づくりに参加し、前年度から構築した「アジア社会論」のシラバスとそれに伴う映像資料をもとに日本における稲作について論文を執筆しその出版を実現した。この教科書には読者の理解を助けるための映像を中心としたCD-ROMが付属しているが、その中に収録されている映像資料はすべて執筆を担当した各国の分担者(中国、韓国、日本、フィリピン、タイ、マレーシア、インドネシア)が撮影したものであり、日本の事例もその例外ではない。 本年度は上記の教科書づくりだけではなく、放送大学の講義科目「社会調査の基礎」(平成13年4月開講)の放送番組制作及び教科書の執筆にも参加し、ここでも同じく教科書に添付されるCD-ROM制作において映像利用を積極的に動員し教育効果の向上を試みた。理論面の研究にあたっては、米国に本拠をおくInternational Visual Sociology Associationの中心メンバーであるDuquesne University(Pittsburgh)のDouglas Harper教授から映像社会学のレビューを受けることができ、同時に映像社会学の分野にとどまらず人類学など他の人文社会科学における映像利用に関係する参考文献等の収集を行うことができた。
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