21世紀に入ってもわが国の超高齢社会への動きは衰えをみせそうもない。周知のように戦後の生産力の飛躍的な発展に支えられて、農業国から工業国へと産業・経済構造の変化を見た日本は、男性のみならず女性をも賃金労働者として、生産現場に駆り立てただけではない。新憲法の制定や民法の改正、民主教育の浸透などによって変化し始めていた人々の家族や介護などの意識のみならず、それまで要介護者を支えてきた家族形態をも変えたのである。こうした変化の他方で、戦後の食糧事情の改善や衛生知識の普及に加えて、急激な医療・医学の発展は平均寿命を延ばし、少産少死を可能とし少子化に拍車をかけたのである。かかる事態を憂慮した政府は「介護保険」でこれを乗り切ろうとしているが、この道はイギリスなどの「二の舞い」を舞うことである。当時は認められなかったが、私は10年以上前から政府の「ボランティア活動の義務化」に先立ち、「互恵的なボランティア制度」をの法制化を提唱してきた。確かに阪神淡路大震災後、ボランティアへの人々の関心は高まってきたが、ボランティアの理解はまだ狭い、誤った、旧態依然の「慈悲・慈善活動」の域を出ていないことである。 そこで本研究では、ボランティアの概念とその歴史を整理するとともに、人々のこの問題に対する意識を調査し、先の提言の可能性を模索することにしたのである。具体的には21世紀にあっても主役はなおまだ女性と考え、昨年は地域婦人会および小学校の先生の協力を得て1800名を対象に全国的な調査を実施した。そして今年度、日本では昨年実施しなかった20才前後の若い世代として東京周辺の大学や短大などの学生を調査した。この調査の他方で、昨年のイギリスやアメリカなど予備調査を踏まえ、ロス周辺の大学、短大の学生を対象に、アメリカでの実態調査を実施し日本の結果と比較することにした。現在はその集計も終り、これからその詳細な分析・整理を行い中間報告書の作成と学会などでの報告をするべく準備している。
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