前年度までに構築してきた分析枠組みにしたがって下記の量的調査を実施した。 1.調査の目的:特定非営利活動法人格を取得して福祉分野で活動している団体を対象に調査し、福祉NPOの組織原理と運営実態を明らかにすること。 2.調査対象と回収率:2000年3月31日までに認証を受けた高齢者分野で生活支援、在宅サービス等の明示がある団体。自計郵送法。2001年11月に実施。対象505団体。有効回収票148票。回収率は29.3%。 3.調査項目:組織課題、組織原理、組織化過程、運営組織の分析、利用者-供給者関係、参加・主体論、ジェンダーとワークシェアーズ等。 調査を通して福祉NPOの組織特性として以下のような特性を指摘した。 (1)労働形態を基軸としながらも、非常勤あるいはワークシェアリングといったオルタナティブな労働を志向している。 (2)新しい関係での助け合い、すなわち集団原理に則った連帯を実現しようとしている。 (3)基本的には集団の継続の方法論に依拠しながらも前提として個人の継続の方法論にも依存する傾向、すなわち継続の方法論の2重構造がある。 (4)日常生活的支援と専門職業的支援の両義性、日常生活的支援はそのままの担保した上で、生活技術的支援の専門職業的支援化を有する。 福祉NPOは、福祉ボランティア型、住民共同福祉型、福祉事業型と異なる活動形態を有し、マージナルな活動形態であり、住民共同福祉型が有する中間的な活動形態ともまた異なった活動形態である。
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