研究課題/領域番号 |
11610229
|
研究機関 | 仙台大学 |
研究代表者 |
鈴木 弥生 仙台大学, 体育学部, 助教授 (80289751)
|
研究分担者 |
佐藤 一彦 秋田桂城短期大学, 地域社会学科, 助教授 (40259304)
|
キーワード | バングラデシュ / 識字 / 社会開発 / 農村の貧困 / 子どもの労働 / NGO / 日本の援助 / 子どものメイド |
研究概要 |
平成11年度より「バングラデシュへの援助と社会開発」を研究テーマとして行ってきた調査研究の報告書を現地での2回の調査(平成11年8月13日から9月2日、平成12年8月8日から9月8日まで)に基づき作成している。その内容は、先ず日本の援助は農村の貧困層に対してどのような影響を及ぼしているのか、という視点から農村開発の現状と貧困層の生活状態を明らかにしている。次に、農村の貧困と密接に関連している以下の問題を取り上げている。1つは、農村を離れ、首都ダッカのスラムに居住していた人々の生活状態を、政府によるスラム強制排除政策との関連から明らかにしている。また、農村の親元を離れ、ダッカで雇用先に住み込み、メイドの労働を余儀なくされている子どもの状態を、雇用主、保護者、保証人、NGOとの関連のもとで明らかにしている。これらの状況については、次項(11)に記載した論文と鈴木弥生「バングラデシュの農村における子どもの労働」(『社会福祉の理論と実証的研究』青踏社、2002年3月)にまとめた。さらに、こうした子どもたちを支援しているNGOの活動内容をまとめている。そして、これらの調査研究を通して、現地で必要とされる支援について考察・分析している。 1971年の独立以降、バングラデシュには諸外国から膨大な資金が投入され、さまざまな開発と援助が行われてきた。にもかかわらず、バングラデシュでは南北問題を一要因とする経済構造の歪みが依然として残されている。それと同時に、政府関係者、大企業家といったごく一部の者のみが富を独占している。そのため、現在も国民の半数以上が絶対的貧困の状態におかれ、多くの困難を余儀なくされている。こうした状況にかんがみ、この調査報告書がバングラデシュの貧困・飢餓の問題解決に少しでも貢献できたなら幸いである。
|