今年は、本研究の最終年度ということで、これまで継続してきた岡山孤児院の運営体制と養護実践についての終結期にあたる大正10年代のそれをまとめ、創立期からの論文18篇を1冊に合本した。また、20冊の『石井十次日誌』の人物別索引の作成、『末藤新市日誌』の解読、石井記念友愛社での資料調査なども引き続き実施した。その概要は次のようになり、4年間の研究成果などをまとめることが一応できたと考える。 1、大正10年代の岡山孤児院の運営体制と養護実践をまとめ、同院が解散まで院児の独立自活に努力し、さらに解散後もそれを継続する最低限の体制は残したことを確認した。これで創立から解散までの同院の運営体制の全体像がほぼ解明でき、これまで各研究誌他に投稿していた抜刷り18篇をまとめ1冊に合本し、科研費用の研究成果報告書を作成した。 2、『石井十次日誌』の人物別索引作成のため、残りの10冊を入力し、全体の人物別索引を完成させた。また、その中から職員の個別データーを抽出してまとめ、各個人別のファイルを作成する準備も実施した。 3、岡山孤児院の職員であった末藤新市の『日誌』の1909(明治42)年12月19日から1910(明治43)年12月24日までを解読し、末藤が実施していた賛助金(員)募集活動の実態を明らかにし、当時の慈善事業従事者(職員)の活動内容の一端を事例的に紹介した。 4、8月28日から9月7日までの16日間、岡山孤児院の資料が残る石井記念友愛社で調査を実施し、同院関係の手紙等の整理と、関係者への聞き取り調査および今後の研究に必要な資料のコピーなども実施した。
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