本研究の目的は、第1に、人々が考えている望ましい老後の意識を構造的に明らかにし、既存の「幸福な老い」の測定尺度との関連を検討し、その知見に立脚してわが国高齢社会における「幸福な老い」の程度を測定する新たな尺度(老後観尺度)を開発することである。第2に、開発された尺度により測定される幸福な老いの程度に関連する要因を明らかにし、今後のわが国高齢社会に必要とされる社会的条件を検討することである。 平成11年度は、老後観尺度を開発するための意識調査を実施した。実査は平成12年2月に行われ、調査対象は、首都圏の45歳から74歳までの男女180名、地方都市の45歳から74歳までの男女180名であった。この対象者は、委託した調査会社のモニターであることから、回収率は100%となっている。 調査項目は、老後観尺度を作成するための項目およびボランティアに関する意識項目で構成されている。老後観尺度のための項目は、これまでの予備調査で有効とされたものと追加が必要と考えられた項目によって構成されている。ボランティア意識については、今後、ボランティア活動が老後の社会参加の一形態となることは明らかなことから、幸福な老いを規定する重要な条件になると考え、調査項目として加えることにした。具体的には、ボランティア活動に対するイメージと参加意識となっている。 現在データ整理を行っており、終了し次第解析に入る予定である。
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