本研究の目的は、第1に、人々が考えている望ましい老後の意識を構造的に明きらかにし、既存の「幸福な老い」の測定尺度との関連を検討し、その知見に立脚してわが国高齢社会における「幸福な老い」の程度を測定する新たな尺度(老後観尺度)を開発することである。第2に、開発された尺度により測定される幸福な老いの程度に関連する要因を明らかにし、今後のわが国高齢社会に必要とされる社会的条件を検討することである。 平成13年度は、前年度に実施した本調査の結果の分析を行い、老後観尺度の多元的な構造を確認にし、あわせて老後観に関連する要因を明らかにすることとした。老後観(老後の望ましい暮らし方)については、11年度の調査でも示された4つの考え方(「変化志向」、「人間関係縮小志向」、「同調志向」、「悠々自適志向」)をほぼ確認することができ、従来の日本型老後観であった「悠々自適志向」を基本にしながらも、様々な方向性が試みられようとしていることがわかった。さらに、こういった方向性については、性、年齢、学歴とともに孤独感といった人間関係性などが関連していることも分析の結果から明らかになってきている。 現在、最終的な分析を進めており、引き続き、研究成果の報告書の作成を行う予定である。
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