本研究は、現代ドイツで進行している学校の自律性(Autonomie der Schule)の強化の現状を調査研究するとともに、こうした教育改革の歴史的背景を究明することを課題としている。研究初年度の今年は、まず学校の自律性の強化に向けた改革が最も進んでいるブレーメン州に注目して研究を進めた。今年度の主な研究活動と研究成果は以下の通りである。 1.まず、ドイツ諸州における学校の自律性の強化に向けた教育法の収集を行った。特に、平成11年12月には、このための調査と資料収集のためのドイツ渡航を行った。その際、ブレーメン州では文部省での聞き取り調査、公立小学校訪問を行った。 2.1の調査研究の結果、ブレーメン州における1994年教育法(学校法と学校行政法)の制定を頂点とする同州の学校の自律性の強化に向けた改革の全体像とその内実を知る資料の収集ができた。 3.さらに、現代ドイツのこうした改革の歴史的背景として、ヘルムート・ベッカーの学校改革論とドイツ教育審議会の勧告の関係について研究した。 4.以上の研究活動による研究成果として、論文「ヘルムート・ベッカーの自律的学校論とドイツ教育審議会勧告」を執筆した。また、ブレーメン州の学校の自律性の強化の背景と内実に関する論文を現在執筆中で学会誌に投稿の予定である。 なお、次年度はブレーメン州以外の州、特にハンブルク、ノルトライン・ヴェストファレン州における改革動向について調査・研究を進めるとともに、その歴史的背景も併せて研究することとしたい。
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