「小学校及び中学校の教諭の普通免許状授与に係る教育職員免許法の特例に関する法律」、いわゆる「介護等体験特例法」が平成10年4月1日から施行され、平成10年度の大学等入学者から適用されている。実際の運用の点において、大学、教育委員会、社会福祉協議会の努力はあるものの、それぞれがとまどっている点は多く解決しなければならない課題が数多く存在する。本研究では、それらの課題の中の、大学等において介護等体験のための事前指導と事後指導をどのように進めていくかという問題について検討した。 本研究においては、まず、従来より国内外で行われている障害者や高齢者に対する態度変容の研究や実践およびマイノリティに対する理解促進の研究や実践の内容と方法について資料を収集した。次に大学生(1058名)を対象に、それまで受けてきた学校教育の中でどのような障害理解教育を受けた経験があるかについて調査した。さらに、介護等体験の実施者を受け入れた施設や学校の担当者に対する詳細なヒアリング調査を行った。また、介護等体験の終了した者、受け入れの施設と学校、介護等体験の事前指導を担当している大学の教員に対する質問紙調査を継続している。 今年度の調査結果より、小学校や中学校において実践されている障害理解教育は「理念的であり、具体性に欠ける」傾向があること、調査対象者の中には小学校や中学校の教師が発した「不適切と思われる障害者に関する言葉(説明)」が強く印象に残っている者がいること、介護等体験者を受け入れている施設や学校の担当者はさまざまな努力と工夫をしてはいるが、しかし試行的であること、などが確認された。詳細な結果は、質問紙調査の分析が終了した時点で明らかになる予定である。
|