平成11年度は、身体協応性発達に影響する環境差を検討するために、意図的にムーブメント教育を取り入れている保育所の園児を対象(実験群)として、独自に開発したThe Body Coordination Test(幼児版BCT)を実施し、統制群との比較を行った。その結果、Task-1:後ろ歩き、Task-2:横跳び、Task-3:横移動における素点の平均値の比較では、各Taskにおいて、実験群が有意に高い傾向を示した。このことから、身体協応性発達における環境設定(動的環境)の重要性が示唆された。そこで、身体協応性発達を促す最も自然な環境として、日常の保育にトランポリンを取り入れた環境を新たに設定し、乳児期からの感覚運動経験が運動スキルに及ぼす影響を検証するための実証的研究に着手した。さらに、教育可能性を検証するために、特に支援を必要とする子ども(Clumsy Child Syndromes)を抽出し、縦断的な追跡研究にも取り組んでいる。これらの結果を分析し、Clumsy Child Syndromesの発達支援をめざして、ムーブメント教育のための指導ツールの開発、および指導ガイドの作成に向けた実践を実施している。
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